シュタット ベルケ。 ドイツ・シュタットベルケにみる市町村が抱えるインフラ・公共サービスの課題解決の羅針盤

ドイツ・シュタットベルケにみる市町村が抱えるインフラ・公共サービスの課題解決の羅針盤

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ドイツの「シュタットベルケ(都市公社)は日本でも参考になりそうだ 東京オリンピック開催の2020年を境に、日本の人口減少スピードが一段と加速することはあまり知られていない。 それに伴い日本の各都市は経済規模の縮小、地価の下落、税収減・財政悪化と向き合うことになる。 しかし「人口減少時代の都市」(中公新書)の著者である諸富徹・京大大学院教授は、この危機を逆手に「住みよい街」実現のチャンスと説く。 そのための第一歩が自治体間で関心を呼んでいる「シュタットベルケ」(都市公社)だ。 人口減時代を生き延びるための企業戦略にもヒントを与えてくれそうだ。 悪いことばかりではない人口減少 諸富徹・京大教授 --日本は20年までに沖縄県を除く46都道府県で、沖縄県も25年には人口減少局面に入ります。 これまで日本の都市は経済成長、人口増加、地価上昇という右肩上がりの3条件に支えられてきましたが、全てが反転する厳しい時代をいや応なしに迎えます。 「人口減少は悪いことばかりではありません。 現状をリフレッシュしてより豊かな生活空間を獲得できる機会でもあります。 地価下落によって、長期的には中間層が安価に良質の住宅を購入できる機会が増えるでしょう。 通勤時のラッシュが軽減されて個々のビジネスパーソンの生産性が高まるなど、都市の過密問題が解決の方向に向かっていくと思います」 --当面の課題としては税収減に直面するため、都市サービスをどう維持するかがカギになってきます。 大都市圏の減少スピードは緩やかですが市民の高齢化は避けられません。 財源をどこに求めるのでしょうか。 地方交付税や国庫支出金のこれ以上の増額は期待できません。 「地域を豊かにするための資金は、自ら稼がなければなりません。 しかし自らの都市規模に見合った都市計画を準備すれば悲観論は無用です。 自治体が経営的な視点から投資し有効なリターンを得る意識を持つべきです。

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MaaSは「地方創生」の切り札 課題大国ニッポンを救う(2ページ目):日経クロストレンド

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設備を市民に公開する機会もある。 写真は50周年記念にあわせたイベントの一幕(筆者撮影) もともと同市は先駆的な環境都市のひとつとしても知られているが、気候保護のために、交通やエネルギーなど総合的な政策を打ち出しており、シュタットベルケも一緒に取り組んでいる。 たとえば市内のCO 2排出削減といった取り組みは電力から公共交通まで、町のインフラ全体をカバーする会社だからこそ効果も高い。 さらに「われわれの電力会社」であるわけだから、市民からの期待もある。 そのため同社代表のヴォルフガング・ゴイス氏は「町のエネルギー長官」のような立場で、地元紙などにもよく登場する。 シュタットベルケが成り立つ条件とは? こういった町の様子を見ると、電力会社が地元の市民からの負託を受けたような構造があり、自治の力が伴った適度に狭い範囲で政治・経済と連携することが、シュタットベルケが成り立つ条件なのだろう。 「フクシマ」以降、ドイツでもエネルギーの地産地消が大きな議論となったが、100年単位でみると、もともとドイツの都市が持っていた性質をもう一度刺激したと見るほうが自然だろう。 日本でエネルギーの地産地消を推進する場合、課題も多いが、ドイツの様子からいえば、自治の力が伴う「われわれの発電所」という意識と、それを具体化する構造を地域内で作ることが、成功の大きなカギとなりそうだ。 なお、ドイツでも電力自由化に伴い、現在は利用者は電力会社を選ぶことができる。 そのため他地域のシュタットベルケからセールスの電話がかかってくることも多い。 同市に住むある女性もそういう電話を受けたそうだが「自分の町の電気を使うのでいりません」と、きっぱり断ったそうだ。

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ドイツの地域電力会社“シュタットベルケ”が示す電力業界の未来――第1回:大手電力会社を凌ぐシュタットベルケの地域密着型サービス

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SAPジャパンの松尾です。 日本では電力小売りが完全自由化される2016年4月を目前に控え、大手電力会社と通信会社との提携やガス会社による発電所の新設、異業種からの参入など、自由化後を見据えた動きが慌ただしくなってきています。 自由化によって日本のエネルギー市場がどのように変化するかについては、以前当社川島の連載()においても、先行する海外事例を紹介しながら日本の動向を予測させていただきました。 なかでも日本より一足早い1998年に電力小売りの全面自由化に踏み切り、また近年では再生エネルギー活用と原子力発電からの脱却を進めるドイツの取り組みには、学ぶべき点が多くあると改めて感じています。 ドイツには、E. 電力自由化後、大手との競争に敗れさるのではないかと考えられていましたが、その多くが生き残っている要因を調査し今後の日本の電力業界の姿を占うべく、SAPジャパンでは、6月上旬に国内企業や学識経験者、メディアの皆様とともに、シュタットベルケ視察ツアーを行いました。 今回はこの視察で得た「生の情報」と、 VKU(Verband Kommunaler Unternehmen:地方自治体系企業連盟)による調査結果などを元に、シュタットベルケのビジネスの最新状況をご紹介させていただきます。 大手を凌ぐシュタットベルケの事業規模 まず、シュタットベルケとは何かというところからご説明します。 シュタットベルケとは、地方自治体が出資するインフラサービス企業のことを指します。 多くのシュタットベルケは、電力だけでなく、水道、ガス、熱、ゴミ処理、通信、交通などさまざまなインフラサービスを提供しています。 フランクフルトやハイデルベルグなどドイツの都市の多くで「トラム」と呼ばれる路面電車をよく見かけますが、その多くはシュタットベルケによって運営されています。 シュタットベルケの運営形態は、地元自治体が100%出資するものから、他の自治体や民間企業などと共同で運営されるもの、株式会社として上場しているものまでさまざまです。 事業規模としても、顧客が100万件を超える大規模なものから、数千件の村単位のものまでさまざまです。 VKUの調査結果によると、1,400社すべての売上高を合わせると、大手4社のドイツ国内での売上高の合計を上回っています (図 -1 )。 事業領域毎のシェアを見ると、さらに面白いことが分かります (図 -2 )。 シュタットベルケの事業の中で最もシェアが高いのは水道事業で、2012年のシェアは80%です。 次が熱事業の65%、ガスの59%と続きます。 電力はというと最も低くシェアは46%程度です。 シェアの高低は、事業の独占度合いの高さに比例しており、大手電力との競争にさらされている電力事業単体では赤字のケースが多いようです。 シュタットベルケにとって電力はあくまで商品ラインナップのひとつであり、他のサービスと組み合わせてはじめて事業が成り立っている点には注意が必要です。 地域住民から愛され、信頼されるシュタットベルケ ドイツへ向かう飛行機から眼下を見下ろすと、市街地と森や農地との区分がはっきりしていることに気付かされます。 街並みには統一感があり、中心部に教会があり、周囲に商業施設や学校、住宅などが集まっています。 また、それぞれの街には、地元ビールの醸造所やサッカーチームも存在し、コミュニティとしての一体感を醸成しています。 また歴史的にも、先の大戦への反省から、地方分権を意識的に強化してきてもいます。 また、ドイツの気候も影響しています。 ドイツは寒冷な地域が多いため、冷房よりも暖房向けの熱需要が高く、熱供給の導管が街中や建物内に張り巡らされた地域熱供給が普及しています。 そのため、シュタットベルケでは、発電所やゴミ処理施設、民間工場などで余った排熱で水を加熱し住民に供給しています。 例えば、SAP本社にほど近いハイデルベルクの市街地には、今から80年前の1935年にこのような熱導管が敷設され、以来シュタットベルケにより維持管理されてきています。 シュタットベルケが地域から愛され、信頼されていることを示すデータが次のグラフです (図 -3 )。 これはドイツの住民に対して、社会において信頼できる組織について尋ねたアンケートですが、トップがシュタットベルケ(Municipalities)で、81%が信用していると回答しています。 ちなみに最下位は政治家(Politicians)の14%と、どこの国も政治家が信頼されないのは同じ状況のようです。 エネルギー大転換により、大手電力も再生可能エネルギーを中心とした分散型電源にシフト ドイツでは、国策として2022年までに原子力発電からの脱却を打ち出しています。 こうしたエネルギー政策の大転換(Energiewende)に苦戦を強いられているのが4大電力会社です。 最大手のE. ONは、昨年末に原子力・火力・水力といった従来型の発電事業と石油開発、石炭やLNGなどのエネルギー取引事業を分離して新設する会社に事業移管し、自らは再生可能エネルギー、配電、顧客向けソリューション事業に注力する計画を発表して業界に衝撃を与えました。 同様の動きは、他の大手電力会社にも見られ、このように4大電力会社が原子力や火力といった集中型電源から分散型電源とエネルギーマネジメント事業にシフトする戦略を取ることで、結果として、MVV Energyなど大手のシュタットベルケの事業戦略と重なる部分が多くなってきているのは、今回の視察でも最も興味深かった点です。 こうした中、シュタットベルケは、地域密着という自己の強みを活かした新しいビジネスにも進出しようとしています。 次の図 (図 -4 )は新規ビジネスのポテンシャルについて示したグラフですが、最も大きな期待を集めているのは、Mobility領域となっています。 これはトラムに加えて、EVの充電施設やパーキング、シェアードサイクルなど複数の交通手段を組み合わせて住民の移動ニーズを満たすものです。 またEVは移動手段に加えて、蓄電池として余剰となった再生可能エネルギーを蓄える需給調整用途(Demand Supply Management)としても注目されています。 シュタットベルケのSWOT分析 シュタットベルケのビジネスの状況を見てきましたが、それらをSWOT分析としてまとめると次の図になります (図 -5 )。 シュタットベルケの強みは、顧客との親密度が高く信頼されており、顔の見えるサービスを提供できること。 一方で弱みとしては、規模が小さいがゆえに規模の経済が働かないこと。 また、地方自治体が事業主体ということもあり財政基盤が盤石でないため、収益が上がっても自治体の赤字補填に費やされ戦略的な投資に振り向けられない場合があることなどです。 取引所での電源調達やトレーディングには、スキルを有する人材とITが必要ですが、いずれも小さなシュタットベルケではなかなか揃えづらいところです。 今後の事業機会としては、エネルギー大転換の流れの中で、再生可能エネルギーや自律分散型電源の導入、エネルギー効率化に向けた機器やサービスの販売などが有望と考えられています。 また、他のシュタットベルケと協力したシェアードサービスやインターネットやスマートフォンなどを活用したプロセス効率化など業務効率化の余地もまだまだ大きいと考えられています。 一方、課題としては、政策変更リスクやスマートグリッドなど技術革新への対応、大手電力の戦略がシュタットベルケに近づいてくることによる競争激化などだと考えられています。 日本でも注目を集めるシュタットベルケですが、電力市場の競争環境の違いはもとより、ドイツの地域性、歴史、国民性、気候条件にも大きく依存してそのビジネスは成り立っています。 「日本版シュタットベルケ」はどのようなものになるのか、この連載を通じて考えていきたいと思います。 は、SAP本社からも程近いマンハイム市のシュタットベルケであるMVV Energy社を取り上げ、その具体的な取り組みを紹介する予定です。 ご質問は や からも受け付けております。 お気軽にお問い合わせください。

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