メキシコ 音楽 リメンバーミー。 ネタバレ感想:リメンバー・ミー

「リメンバー・ミー」で描かれたメキシコ文化の正しいところと間違っているところ

メキシコ 音楽 リメンバーミー

All Rights Reserved. 作品の舞台であるメキシコで公開されるやいなや、アニメーション映画史上最高のオープニング記録ばかりか、累計で映画歴代1位の興行収入を記録、映画批評サイトIMDbでは10点満点中8. 結論から言えば、ピクサー史上、いやアニメ映画史上No. 死者の日とは1年に1度、亡くなった人の魂が現世に帰ってきて、親しい人たちと再会するという行事です。 街にはたくさんの色とりどりの装飾品が飾られ、家の入り口にまかれたマリーゴールドの花びらのオレンジも映えているのです。 頭蓋骨やドクロというものは、現実ではどうしても恐ろしく、無個性なものに見えがちですが、劇中のガイコツの衣装はそれぞれがカラフルで個性豊かです。 その死者の日および死者の国を描くにあたって、リサーチと研究に妥協はありません。 スタッフは実際にメキシコに赴いて3、4回も死者の日を体験し(1年に1度のお祭りなので、実際は3〜4年を費やしている!)本格的に製作に始まってからは、お祭りの日に限らずに12回ほどもメキシコに訪れたのだとか。 メキシコの独特の死者の日に存分にリスペクトを捧げ、その概念をアニメならではの楽しくて美しい死者の国のビジュアルに落とし込んでいること。 同時に、死というこの世で最も悲しい出来事が描かれているのに、楽しい雰囲気で満ち満ちていること。 これこそが『リメンバー・ミー』の最大の特徴と言っていいでしょう。 余談ですが、2015年の映画『007 スペクター』の冒頭では、死者の日のお祭りを舞台にした大スペクタクルのアクションがあります。 『リメンバー・ミー』と合わせてみると、良い意味でとアニメと現実の風景のギャップを感じることができますよ。 All Rights Reserved. 2:ピクサー初のミュージカル! 字幕版と吹替版の両方をおすすめできる! 本作のもう1つの大きな特徴は、ピクサー初のミュージカル映画であるということ。 とは言っても「いきなり街中で歌って踊り出す」わけではなく、コンサートで歌ったり、誰かに楽器を弾いて聞かせるという、物語上の必然性があるものになっているので、ミュージカルが苦手という方でも受け入れられやすいでしょう。 結論から申し上げれば、「字幕と吹替それぞれが最高のクオリティなので、好きな方を選べばよい!」です。 その吹替版が問題なく楽しめる理由を紹介しましょう。 吹替版で主人公のミゲルを演じた石橋陽彩さんは若干13歳、声変わり前の高い声で、不測の事態に翻弄され続けるものの芯の通った少年を好演、何より歌唱シーンになると驚くほどの力量があることがわかります。 その相棒となるガイコツのヘクターを演じた藤木直人さんもとても愛らしい! その他、橋本さとしさん演じる伝説のミュージシャン、松雪泰子さん演じるキーパーソンの女性も卓越した演技はもちろん、素晴らしい歌声を披露。 日本語の歌詞も見事にローカライズされており、どの楽曲もまったく違和感がないというのは驚異的! 実力派ミュージカル俳優が結集した2017年の実写映画版『美女と野獣』も素晴らしい吹替でしたが、本作もそれに迫る出来と断言できます。 字幕版のほうが文字として認識できる分、わかりやすくなっているところもあるにはありますが、字幕版にあった表現は、吹替版でもほぼ余すことなく表現されているので、ご安心ください。 なお、字幕版と吹替版それぞれで、エンドロールで流れる楽曲(主題歌)だけはアレンジが大幅に異なっています。 明るい劇伴には賛否両論もありそうですが、作品のポップなトーンには存分にマッチしていました。 この主題歌のどちらを気にいるかで、字幕版か吹替版のどちらかを選ぶか、を決めてみてもいいでしょう。 『アナと雪の女王 家族の思い出』の物語は、雪だるまのオラフが(クリスマスの)家族の伝統を探しに冒険に出かけるというもの。 日本においても、「長すぎる」「話そのものに無理がある」「いつものようにピクサーのオリジナルの短編が観たかった」「子どもが本編の前に飽きてしまった」などの否定的な意見も出ているのが現状です。 決して『アナと雪の女王 家族の思い出』は無作為に『リメンバー・ミー』と併映されたわけではない、本編と合わせて観ることには確かな意義がある、と筆者は肯定したいのです。 ちなみに、過去のディズニーまたはピクサー作品においても、今回と同様に本編と短編が対になっていたこともありました。 アナはやっぱりかわいいし、エルサは良いお姉ちゃんとしてさらに成長したかのよう。 ネガティブな意見が出てしまうのは致し方のないところもありますが、過度に身構えて観なければ、存分に楽しめると思いますよ。 そこには、美しく、忘れがたいメッセージがありました。 観終わった後には、きっとタイトル(日本では主題歌と同じ「リメンバー・ミー」、本国ではある人物の名前の「coco」)の意味もわかることでしょう。 All Rights Reserved. 5:知ってほしい単語や小ネタはこれだ! ここでは(本編を観た前でも後でもよいので)知ってほしいメキシコの死者の日にまつわる用語や、小ネタを紹介します。 ネットでそれぞれを検索すると、きっとさらなる感動がありますよ。 ・パペルピカド……メキシコのお祭りで飾られる独特の切り絵。 ・オフレンダ……故人の写真が置かれた祭壇。 ・ピニャータ……紙製のくす玉人形。 ・マリアッチ……メキシコの音楽を演奏する楽団。 ・ルチャリブレ……スペイン語でプロレスのこと。 メキシコではとても人気がある。 ・アレブリヘ……カラフルな木彫り人形。 ・ショロ犬……別名メキシカン・ヘアレスドッグ。 頭のよい犬種でもある。 ・フリーダ・カーロ……実在したメキシコの芸術家。 劇中では渡辺直美さんが吹替を担当している。 繰り返し観る時に、ぜひ探してみてください。 All Rights Reserved. 6:『千と千尋の神隠し』の影響もあった! 実は、『リメンバー・ミー』のリー・アンクリッチ監督は、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に、間違いなく影響を受けたとも語っています。 劇中の「異世界で肉体が透けて骨が見えるようになっていく」というのは、『千と千尋の神隠し』の「千尋の体が透けて消えそうになっている切迫した状況」からインスパイアされているのだそうです(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも、同じように過去を変えたことにより主人公の体が消えそうになる描写があります)。 もちろん、『リメンバー・ミー』で描かれた家族愛はとても美しく、それ自体は何も間違ってはいません。 それでも……「家族がいない人は悲しいままなのではないか」という疑問は完全には晴れない、というのが正直なところです。 そのように『リメンバー・ミー』の物語に居心地の悪さを覚えた人におすすめしたいのは、現在も公開中のアニメ映画『ぼくの名前はズッキーニ』です。 詳しくは観ていただきたいのですが、劇中の施設で暮らしている子どもたちの境遇はとても過酷で、とても両親の元では暮らせない子どもばかりなのです。 その教えは、きっと現実で苦しんでいる誰かの救いになるはずです。 とはいえ、『リメンバー・ミー』にはない独自の魅力もあります。 それは、ヒロインが男勝りでカッコよくてかわいいことと、彼女と幼馴染2人をめぐっての三角関係が描かれること! 大切な人を救う大冒険、ケレン味たっぷりのアクションも組み合わさり、老若男女問わずに誰もが楽しめる愉快な娯楽作に仕上がっていました。 日本では劇場未公開作品であったため知名度は低いのですが、埋もれたままにしておくのはもったいない名作です。 『ティム・バートンのコープス・ブライド』 生者の国は冷たく陰鬱としていて、死者の国は楽しくカラフルと、はっきりとしたギャップのある世界観が魅力的な作品です。 主人公の飼っている犬が活躍するのも、『リメンバー・ミー』と共通していますね。 主人公は、初めは望んでいない政略結婚をさせられそうになっていたものの、いざ婚約者と会ってみればまんざらでもない様子で一件落着……と思いきや、ひょんなことから死体の花嫁に連れ去られてしまいます。 そこからは二転三転する展開で飽きさせず、美しいラストシーンへと一気に駆け抜ける……楽しさと切なさが同居している物語は、多くの人の心の琴線に触れることでしょう。 両者を見比べれば、メキシコと日本それぞれの死生観はもちろん、国や文化にどのような美しさがあるかもうかがい知ることができるでしょう。

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リメンバーミーに対する皆の評価は?髭の天才女流画家、フリーダ・カーロまで登場!

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Contents• Dante(ダンテ) いきなり人じゃなくて 犬なのですが 笑 主人公のミゲルが可愛がっている 野良犬のダンテ。 おっちょこちょいでとてもキュートな彼は、物語の中でとても重要な役割を担っていました。 ダンテは Xolo ショロ と呼ばれる メキシコ原産の種類の犬です。 Xoloの正式名称は Xoloitzcuintli ショロイツクインツレ 、英語では Mexican Hairless Dog メキシカン・へアレス・ドッグ と言います。 その名の通り基本的にはへアレス、つまり 全身に毛が生えない犬種です。 下は、実際のXoloがどんな犬なのかご覧いただける動画です。 Xoloは、メキシコの地にまだアステカがあった頃から存在していた長い歴史を持った犬種です。 アステカの神話によるとXoloは 死者の魂をあの世に導く犬であると考えられていたようです。 そのため、生死を彷徨うミゲルだけでなく、完全に生きているダンテも死者の国に行くことができたのですね。 ちなみに映画の中で、 Land of the deadの入国管理局? でミゲルとマネージャーがこんな会話をしていたのを覚えていますか? Manager : Whatever he is, I am… achoo!! … terribly allergic. でも、ダンテは毛が無いよ。 Achoo!! 僕だって鼻が無いさ。 Frida Kahlo(フリーダ・カーロ) 映画の中で、 非常に個性的な芸術家の女性が出てきたのを覚えていますか? 彼女が工房でステージの準備をしている時にミゲルに出会い、アドバイスを求めているシーンがありました。 彼女は、 Frida Kahlo フリーダ・カーロ。 実在した人物で、 1900年代前半に活躍したメキシコの現代絵画を代表する画家です。 彼女は亡くなってからも死者の国で活躍しているようですね 笑 Fridaはメキシコだけでなく世界で有名な画家です。 そのため、映画の中ではヘクターが彼女の変装をしてLand of the deadの出国審査を顔パスで抜けようとしたり、パーティー会場に行くためのセキュリティを切り抜けたりしていました。 Fridaの作品には 生と死、孤独、痛み、夢や希望などが強く刻み込まれています。 小さい頃から病気に苦しんだり、大きな事故にあったり、尊敬する画家と結婚したものの妹と不倫されたり… 非常に波乱万丈な人生を送ったためです。 彼女の作品の多くは 自画像で、人生で感じた事や心の内を自分を描くことで表現したようです。 下の動画は Frida kahloのドキュメントビデオですが、背景に彼女の作品が使われているので気になる方は見てみてください。 余談ですが、 彼女の作品はよくファッションやインテリアに引用されています。 私自身も雑貨屋さんで彼女の顔がプリントされたTシャツやクッションをよく見かけました。 インターネット上でも購入できると思うので、彼女の作品が気に入った方はよかったら探してみてください。 プロデュースしているステージについて彼女自身が説明するセリフがあります。 Frida : From the darkness, a giant papaya! Dancers emerge from the papaya. And the dancers are all me! And they go to drink from the milk of their mother. Who is a cactus. But who is also me! And her milk is not milk… but tears. 暗闇から大きなパパイヤ!ダンサーたちがパパイヤから現れる。 ダンサーは全員私!そして、彼女たちは母のお乳を飲みに行くの。 母はサボテン!でもそのサボテンは私!彼女のお乳はミルクではなく涙なの…。 ダンサーたちが太い繋がった眉をつけてフリーダを演じていた理由は、彼女が残した作品の多くが自画像だったからなんです。 そしてこれは私の個人的な考えなのですが、 彼女の作品の中には果物が描かれた作品や乳母のお乳を飲む赤ちゃんのフリーダが描かれた作品があり、このステージはそれらからインスパイアされているのかなと思いました。 また、彼女の Alebrije アレブリヘ、魂の案内役 が 猿だったことを覚えていますか? Fridaの肩の上で火を吹いてAlebrijeがミステリアスでパワフルであるところを見せてくれました。 実は、彼女の作品の中には 猿を描いた作品が複数あります。 絵によって性の象徴だったり、流産してしまった自分の子を表していたり、自身が開いた絵画教室の生徒を表していたり様々な意味合いがあると言われています。 複数の作品に登場させるほど、 彼女にとって猿は特別な存在だったようです。 Sponsored Link El santo(エル・サント) Ernesto de la Cruzのパーティ会場に向かうケーブルカーの列に、 覆面レスラーが並んでいたのを覚えていますか? セキュリティが興奮してそのレスラーと一緒に写真を撮ってもらっていましたね。 彼の名前は El santo エル・サント。 メキシコのプロレスラーで 国民的スターです。 彼も既に亡くなっているのですが、死者の国でもスターのようです。 El santoは英語で The saint、つまり 聖人という意味があります。 その名からもわかるように ベビー プロレスの善玉 です。 彼はマスクが銀色だったことから El Enmascarado de Plata エル・エンマスカラド・デ・プラタ、白銀のマスクマン というスローガンがつきました。 プロレスラーとしては40年以上のキャリアを持ち、メキシコのプロレス界の人気を牽引し国民的スポーツにした人物でもあります。 余談ですが、主人公ミゲルもプロレスが好きです。 メキシコではプロレスの事を Lucha libre ルチャ・リブレ と呼び、レスラーの事を Luchadorと呼びます。 映画ではミゲルがココおばあちゃんとプロレスごっこをしている時に、 Miguel : And the winner is… Luchadora Coco!! そして勝者は…ココ選手!! と言っていました。 Luchadoraは女性レスラーを意味します。 El santoは、メキシコでは 伝説的な存在で 正義のシンボルです。 その人気は彼のコミックが創刊されたり、映画俳優としても活躍するほどでした。 彼はちょうど 1940年代のメキシコ映画の黄金期にプロレスラーとしても映画俳優としても活躍しました。 彼の映画はどれも El santoと悪者が戦うアクションムービーであるのが特徴です。 ただ、戦う相手が人間ではなく 悪霊だったり 火星人だったり フランケンシュタイン博士だったりする時があります。 下には「 白銀のマスクマン サント V. 火星人の侵略」を貼っておきます。 残念ながら英語訳や日本語訳は付いていないのですが、 El santoと火星人と戦っている部分をご覧いただければと思います。 メキシコ映画黄金時代に多くの映画に出演し活躍した有名な女優の1人です。 El santoが彼女をエスコートしていますが、結婚していたわけではないです。 Negrete(ネグレテ)とInfante(インファンテ) ミゲルが Ernesto de la Cruzに会った後、彼らはパーティの参加者に「 俺の玄孫だよ!」と挨拶してまわります。 その中のワンシーンに、Ernestoが二人の男性と肩を組みながら Ernesto: Hey, Negrete! Infante! Have you met my great-great-grandson? ネグレテ!インファンテ!俺の玄孫にはもう会ったか? と話しかけているシーンがあります。 この Negreteと Infanteと言うのは、 Jorge Negreteと Pedro Infanteのこと。 2人とも メキシコの有名な歌手で 映画俳優です。 彼らは同じ時期に音楽界、映画界で活躍し、よくお互いの功績を比べられたライバルであり仲が良かった友人でもあります。 Jorge Negreteは、メキシコだけでなくラテンアメリカ諸国やスペインでも有名な歌手、俳優です。 彼が国際的に有名となったきっかけは Charro チャロ というジャンルの映画に出演したことです。 Charroとは メキシカンカウボーイがテーマの映画のことです。 彼のハンサムな外見と軍経験で培った勇敢な態度、オペラで鍛えられた魅力的な歌声が多くの人々を魅了しました。 Pedro Infanteは、メキシコを始めとするラテンアメリカで最も愛された歌手、俳優の一人です。 彼は最も人気な Mariachi マリアチ 、Ranchera ランチェラ のSingerだと言われ、その素晴らしい魅力から映画俳優としても人気だったと言います。 映画では、危険なスタントを含むシーンも全て自分で行っていたそうです。 Pedroは 39歳という若さで亡くなっています。 趣味で彼自らが操縦していた飛行機の墜落事故によるものでした。 亡くなる前には Mexican Academy Award for Best Actorを受賞しており、益々映画界や音楽界で活躍していくだろうと思われていた矢先の出来事でした。 ここまで Pedroの話を聞いてピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実は Pedro Infanteはリメンバー・ミーの Ernesto de la Cruzのモデルになった人物だと言われています。 映画の中で、 Ernestoはこのように紹介されています。 ・メキシコの歴史の中でも最も愛された歌手であった。 ・1942年、人気の最中、大きなベルに潰されるという不慮の事故で亡くなった。 ・映画のスタントは全て自分で行った。 そうなんです。 Pedroと共通点が複数あるんです。 Pedro InfanteがErnestoのモデルになった人物だから、彼とJorgeを映画に登場させてわざわざErnestoに名前を呼ばせたのではないかと言われています。 いかがでしたか? 今回は 映画「リメンバー・ミー」に登場した実在した人物から5人と1匹をピックアップしてご紹介しました。 もしもう一度映画を見られる場合は彼らにも注目してご覧ください。

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『リメンバー・ミー』ネタバレ感想評価とあらすじを解説!

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All Rights Reserved. 作品の舞台であるメキシコで公開されるやいなや、アニメーション映画史上最高のオープニング記録ばかりか、累計で映画歴代1位の興行収入を記録、映画批評サイトIMDbでは10点満点中8. 結論から言えば、ピクサー史上、いやアニメ映画史上No. 死者の日とは1年に1度、亡くなった人の魂が現世に帰ってきて、親しい人たちと再会するという行事です。 街にはたくさんの色とりどりの装飾品が飾られ、家の入り口にまかれたマリーゴールドの花びらのオレンジも映えているのです。 頭蓋骨やドクロというものは、現実ではどうしても恐ろしく、無個性なものに見えがちですが、劇中のガイコツの衣装はそれぞれがカラフルで個性豊かです。 その死者の日および死者の国を描くにあたって、リサーチと研究に妥協はありません。 スタッフは実際にメキシコに赴いて3、4回も死者の日を体験し(1年に1度のお祭りなので、実際は3〜4年を費やしている!)本格的に製作に始まってからは、お祭りの日に限らずに12回ほどもメキシコに訪れたのだとか。 メキシコの独特の死者の日に存分にリスペクトを捧げ、その概念をアニメならではの楽しくて美しい死者の国のビジュアルに落とし込んでいること。 同時に、死というこの世で最も悲しい出来事が描かれているのに、楽しい雰囲気で満ち満ちていること。 これこそが『リメンバー・ミー』の最大の特徴と言っていいでしょう。 余談ですが、2015年の映画『007 スペクター』の冒頭では、死者の日のお祭りを舞台にした大スペクタクルのアクションがあります。 『リメンバー・ミー』と合わせてみると、良い意味でとアニメと現実の風景のギャップを感じることができますよ。 All Rights Reserved. 2:ピクサー初のミュージカル! 字幕版と吹替版の両方をおすすめできる! 本作のもう1つの大きな特徴は、ピクサー初のミュージカル映画であるということ。 とは言っても「いきなり街中で歌って踊り出す」わけではなく、コンサートで歌ったり、誰かに楽器を弾いて聞かせるという、物語上の必然性があるものになっているので、ミュージカルが苦手という方でも受け入れられやすいでしょう。 結論から申し上げれば、「字幕と吹替それぞれが最高のクオリティなので、好きな方を選べばよい!」です。 その吹替版が問題なく楽しめる理由を紹介しましょう。 吹替版で主人公のミゲルを演じた石橋陽彩さんは若干13歳、声変わり前の高い声で、不測の事態に翻弄され続けるものの芯の通った少年を好演、何より歌唱シーンになると驚くほどの力量があることがわかります。 その相棒となるガイコツのヘクターを演じた藤木直人さんもとても愛らしい! その他、橋本さとしさん演じる伝説のミュージシャン、松雪泰子さん演じるキーパーソンの女性も卓越した演技はもちろん、素晴らしい歌声を披露。 日本語の歌詞も見事にローカライズされており、どの楽曲もまったく違和感がないというのは驚異的! 実力派ミュージカル俳優が結集した2017年の実写映画版『美女と野獣』も素晴らしい吹替でしたが、本作もそれに迫る出来と断言できます。 字幕版のほうが文字として認識できる分、わかりやすくなっているところもあるにはありますが、字幕版にあった表現は、吹替版でもほぼ余すことなく表現されているので、ご安心ください。 なお、字幕版と吹替版それぞれで、エンドロールで流れる楽曲(主題歌)だけはアレンジが大幅に異なっています。 明るい劇伴には賛否両論もありそうですが、作品のポップなトーンには存分にマッチしていました。 この主題歌のどちらを気にいるかで、字幕版か吹替版のどちらかを選ぶか、を決めてみてもいいでしょう。 『アナと雪の女王 家族の思い出』の物語は、雪だるまのオラフが(クリスマスの)家族の伝統を探しに冒険に出かけるというもの。 日本においても、「長すぎる」「話そのものに無理がある」「いつものようにピクサーのオリジナルの短編が観たかった」「子どもが本編の前に飽きてしまった」などの否定的な意見も出ているのが現状です。 決して『アナと雪の女王 家族の思い出』は無作為に『リメンバー・ミー』と併映されたわけではない、本編と合わせて観ることには確かな意義がある、と筆者は肯定したいのです。 ちなみに、過去のディズニーまたはピクサー作品においても、今回と同様に本編と短編が対になっていたこともありました。 アナはやっぱりかわいいし、エルサは良いお姉ちゃんとしてさらに成長したかのよう。 ネガティブな意見が出てしまうのは致し方のないところもありますが、過度に身構えて観なければ、存分に楽しめると思いますよ。 そこには、美しく、忘れがたいメッセージがありました。 観終わった後には、きっとタイトル(日本では主題歌と同じ「リメンバー・ミー」、本国ではある人物の名前の「coco」)の意味もわかることでしょう。 All Rights Reserved. 5:知ってほしい単語や小ネタはこれだ! ここでは(本編を観た前でも後でもよいので)知ってほしいメキシコの死者の日にまつわる用語や、小ネタを紹介します。 ネットでそれぞれを検索すると、きっとさらなる感動がありますよ。 ・パペルピカド……メキシコのお祭りで飾られる独特の切り絵。 ・オフレンダ……故人の写真が置かれた祭壇。 ・ピニャータ……紙製のくす玉人形。 ・マリアッチ……メキシコの音楽を演奏する楽団。 ・ルチャリブレ……スペイン語でプロレスのこと。 メキシコではとても人気がある。 ・アレブリヘ……カラフルな木彫り人形。 ・ショロ犬……別名メキシカン・ヘアレスドッグ。 頭のよい犬種でもある。 ・フリーダ・カーロ……実在したメキシコの芸術家。 劇中では渡辺直美さんが吹替を担当している。 繰り返し観る時に、ぜひ探してみてください。 All Rights Reserved. 6:『千と千尋の神隠し』の影響もあった! 実は、『リメンバー・ミー』のリー・アンクリッチ監督は、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に、間違いなく影響を受けたとも語っています。 劇中の「異世界で肉体が透けて骨が見えるようになっていく」というのは、『千と千尋の神隠し』の「千尋の体が透けて消えそうになっている切迫した状況」からインスパイアされているのだそうです(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも、同じように過去を変えたことにより主人公の体が消えそうになる描写があります)。 もちろん、『リメンバー・ミー』で描かれた家族愛はとても美しく、それ自体は何も間違ってはいません。 それでも……「家族がいない人は悲しいままなのではないか」という疑問は完全には晴れない、というのが正直なところです。 そのように『リメンバー・ミー』の物語に居心地の悪さを覚えた人におすすめしたいのは、現在も公開中のアニメ映画『ぼくの名前はズッキーニ』です。 詳しくは観ていただきたいのですが、劇中の施設で暮らしている子どもたちの境遇はとても過酷で、とても両親の元では暮らせない子どもばかりなのです。 その教えは、きっと現実で苦しんでいる誰かの救いになるはずです。 とはいえ、『リメンバー・ミー』にはない独自の魅力もあります。 それは、ヒロインが男勝りでカッコよくてかわいいことと、彼女と幼馴染2人をめぐっての三角関係が描かれること! 大切な人を救う大冒険、ケレン味たっぷりのアクションも組み合わさり、老若男女問わずに誰もが楽しめる愉快な娯楽作に仕上がっていました。 日本では劇場未公開作品であったため知名度は低いのですが、埋もれたままにしておくのはもったいない名作です。 『ティム・バートンのコープス・ブライド』 生者の国は冷たく陰鬱としていて、死者の国は楽しくカラフルと、はっきりとしたギャップのある世界観が魅力的な作品です。 主人公の飼っている犬が活躍するのも、『リメンバー・ミー』と共通していますね。 主人公は、初めは望んでいない政略結婚をさせられそうになっていたものの、いざ婚約者と会ってみればまんざらでもない様子で一件落着……と思いきや、ひょんなことから死体の花嫁に連れ去られてしまいます。 そこからは二転三転する展開で飽きさせず、美しいラストシーンへと一気に駆け抜ける……楽しさと切なさが同居している物語は、多くの人の心の琴線に触れることでしょう。 両者を見比べれば、メキシコと日本それぞれの死生観はもちろん、国や文化にどのような美しさがあるかもうかがい知ることができるでしょう。

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